「公務員です」
「〇〇(大企業)で働いています」
こう聞くと、多くの人が「勝ち組だな」と思うはずです。
親族や近所の人に話せば「凄いですね〜」と言われる。
実は私も、会社が嫌になった時期に公務員試験の勉強をしていたことがあります(断念しましたが)。
そして私の親は公務員でした。
だから、収入が安定していることのありがたさは身をもって知っています。
毎月決まった日に、決まった給料が入る。
福利厚生がしっかりしている。
ローンの審査は一発で通る。
家族にとって、これは本当に大きな安心です。
でも、この「安定した収入」にこそ、大きな落とし穴があります。
先に結論を言うと——
大企業・公務員の人は、お金の失敗が許されません。
なぜなら、失敗を「収入の爆発力」で取り返すことができないからです。
「現場の自分には関係ない話」と思うかもしれません。
でも、そんなことはありません。
私たちのお客様である電力会社は、まさにこの「安定収入型の大企業」です。
実際、私が関わってきたお客様は、保険・家・車をローンで買っている人ばかりでした。
そして、お客様や同僚、協力会社の方の奥様が公務員というケースも少なくありません。
接点は、あなたが思っているよりずっと多いのです。
この記事では、安定収入の裏にある罠を説明します。
※先に断っておくと、「大企業や公務員になるな」という話では全くありません。
努力してその立場を手に入れた、素晴らしい方々です。
だからこそ、この罠を知っておいてほしいのです。
※また、ここで言う「大企業」に、平均年収2,000万円超えの大企業などは含めていません。
安定収入の正体:「爆発力がない」ということ
大企業や公務員の給料には、大きな特徴があります。
下がらない代わりに、爆発的に上がることもない。
年功序列で毎年少しずつ増えていく給料は、裏を返せばこういうことです。
- 最初の給料は低い(20代の手取りは現場仕事より低いことも珍しくない)
- 昇給のペースはほぼ決まっている
- 40代50代でようやく年収のピークが来る
実際、国家公務員(大卒・一般職)の初任給は月20万円台前半。
手取りにすると17〜18万円程度です。
現場で残業や手当を含めて稼ぐ20代のほうが、手取りが多いケースは普通にあります。
つまり、大企業・公務員の人生の収入は、入社した瞬間にほぼ計算できてしまうのです。
これは見方を変えれば「安心」です。
でも、もう一つの見方をすれば——
「今後の人生で、収入が想定外に増えることはない」という宣告でもあります。
だから「失敗が許されない」
ここが今日の本題です。
たとえば、自営業や歩合制の営業マンが1,000万円の失敗をしたとします。
痛い。
でも「来年バカ稼ぎして取り返す」という道が、理屈の上では存在します。
では、公務員が1,000万円の失敗をしたら?
取り返す手段が「毎月の給料の余り」しかありません。
毎月3万円ずつ節約して取り返すとして、年間36万円。
1,000万円を取り返すのに約28年かかります。
収入が計算できるということは、取り返せる金額も計算できてしまうということ。
だから、大企業・公務員の人は、大きなお金の失敗が構造的に許されないのです。
落とし穴①:「みんなやってる」という地獄への行列
若いうちの給料が低いにもかかわらず、大企業・公務員の人は入社してすぐ、こんな買い物を始めます。
- 新車をローンで購入
- 結婚を機に貯蓄型保険に加入
- 30歳前後で住宅ローン35年
気づけば、低い収入に対して、支出だけが一人前以上に膨れ上がっている。
収入が低いのに、固定費だけが積み上がっていく。
冷静に見れば、かなり苦しい状態です。
でも、本人たちは地獄だと思っていません。
なぜなら——周りの同期も先輩も、全員同じことをしているからです。
「みんなやってるから普通」
この感覚が、家計の危機感を完全に麻痺させます。
行列に並んでいると安心しますが、その行列が地獄に向かっていても誰も気づかないのです。
ホリエモンの「車を一括で買う奴は馬鹿だ」を真に受けてはいけない理由。前提条件を揃えよう。
残クレでアルファードに乗るのはやめなさい。残価設定ローンのカラクリを全部話す
落とし穴②:あなたの「信用力」は詐欺師の大好物
ここからが、さらに深い地獄の話です。
大企業・公務員の人には、強力な武器があります。
「信用力」です。
銀行がお金を貸してくれる力のことです。
安定収入があるので、ローン審査がスルスル通る。
本来これは武器のはずですが——
詐欺的な商品を売る側から見ると、これほど美味しいカモはいません。
代表例がワンルームマンション投資です。
「不動産投資で節税しませんか」
「家賃収入でローンは実質タダです」
「公務員の方なら審査も問題ありません」
彼らが大企業・公務員を狙い撃ちにする理由は単純で、銀行が数千万円を貸してくれる属性だからです。
どれだけ商品がひどくても、ローンさえ組めれば売る側は儲かります。
そして思い出してください。
ワンルームマンション投資で数百万〜数千万円の損を出しても、あなたにはそれを取り返す収入の爆発力がありません。
ポンジスキーム(「必ず儲かる」系の出資詐欺)も同じです。
狙われるのは、まとまった貯金と安定収入がある人。
つまり、あなたです。
「信用力が高い」ことと「お金の知識がある」ことは、まったく別の話です。
そして売る側は、その差を正確に見抜いてきます。
ちなみに、狙われるのは現役時代だけではありません。
大企業・公務員の退職金は、金融機関の営業にとって最大のターゲットです。
この話はまた別の記事で書きます。
では、どうすればいいのか

対策はシンプルです。
①「収入の爆発力がない」ことを自覚する
自分の人生の収入はほぼ確定している。
だから、大きな失敗は一度もできない。
この自覚だけで、お金の判断は慎重になります。
②固定費を「同期並み」にしない
新車のローン、貯蓄型保険、身の丈以上の住宅ローン。
「みんなやってる」は理由になりません。
むしろ若いうちの給料が低いからこそ、固定費は徹底的に軽くしてください。
③「職場に来る儲け話」は全部疑う
ワンルームマンション投資の営業は、職場の電話や同僚・OBの紹介でやってきます。
「あなただから特別に」は、あなたの属性(信用力)に言っているだけです。
即答せず、必ず持ち帰って調べてください。
④余ったお金はNISAでインデックス投資へ
安定収入は、実はコツコツ積立投資と最高に相性が良いです。
毎月決まった額を、決まった日に、機械的に積み立てられる。
爆発力がない代わりに、時間を味方につける投資では、安定収入は最強の武器になります。
【新NISA完全解説】積立枠・成長投資枠の違いと現場仕事員のための賢い使い方
まとめ
✅ 大企業・公務員の「安定収入」は、裏を返せば「収入の爆発力がない」ということ
✅ 失敗しても稼いで取り返す道がないため、大きなお金の失敗が構造的に許されない
✅ 若手時代の低い給料で、車・保険・家のローンを組むと固定費地獄。
「みんなやってる」が危機感を麻痺させる。
✅ 高い信用力は、ワンルームマンション投資などの詐欺的商品に狙われる最大の理由。
退職金も狙われる。
✅ 対策は「固定費を軽くする」「職場に来る儲け話は全部疑う」「余力はNISAで積立」
✅ 安定収入×コツコツ積立投資は最強の組み合わせ。
武器の使い方を間違えないこと
安定は、正しく使えば人生最大の武器です。
でも「安定しているから大丈夫」と思考停止した瞬間、罠に変わります。
あなたの信用力は、あなたとご家族のために使ってください。
営業マンのノルマのためではなく。
参考文献・出典
国民生活センター「投資用マンションの勧誘トラブル」
https://www.kokusen.go.jp/
金融庁「NISA特設ウェブサイト」
https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/
人事院「国家公務員の初任給」
https://www.jinji.go.jp/
※記事中の内容は一般的な傾向であり、すべての企業・職種に当てはまるものではありません。



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