家賃を払うなら家を買った方がお得?考える事山程あるけど全部計算しました?

ローン・借金

会社の上司にこう言われたことがあります。

「家は早く買え。40過ぎてから購入すると返済が大変だぞ」

ありがたい助言だとは思います。
でも、私は今もこの助言を無視して賃貸のままです。

理由は単純です。
実家が持ち家で、両親がローンの返済にずっと苦労している姿を見てきたからです。

先に言っておきます。
この記事は「賃貸と持ち家、どっちがお得か」に答える記事ではありません。
家を買うという決断には、考えなければならないことが多すぎます。
「転勤がないから」「家賃がもったいないから」といった、単純な理由だけで決めてしまうのが一番危険です。

今日は家を買う前に押さえておくべき論点を、実際の金額とセットで整理します。


なぜ「家を買ったほうが得」と感じるのか?

「家賃を払い続けても、何も手元に残りません」

このフレーズ、実はハウスメーカーの営業トークの定番です。
住宅展示場やモデルルームで一度は聞いたことがあるはずです。
人間は「何かを失い続ける」ことに強い恐怖を感じる生き物なので、この一言はかなり効果的に刺さります。

一方、住宅ローンを払い終えれば、家という資産が手元に残ります。
だから「家賃はもったいない、家を買ったほうが得だ」という感覚が生まれます。

ただし、ここで多くの人が誤解しています。
「持ち家=資産」ではありません。

資産とは本来、「自分の懐にお金を入れてくれるもの」のことです(『金持ち父さん貧乏父さん』などで語られる定義)。
逆に、懐からお金を出していくものは「負債」です。
この定義に照らすと、自分が住むための持ち家は家賃こそ発生しませんが、住宅ローンの金利・固定資産税・修繕費といった支出を毎年生み続けます。
お金を生み出すどころか、お金を出し続けている時点で実態としては負債に近いというのが正しい理解です。

「ローンを払い終えれば資産になる」と思っている人がほとんどですが、それは「売却して初めて現金化できる、価値が不確定な資産」に過ぎません。
しかも売却時には仲介手数料や譲渡にかかる税金も発生します。
住み続ける限り、固定資産税や修繕費はローン完済後もずっと払い続けることになります。

つまり、「もったいないかどうか」という感覚だけで判断するのは、住宅を売る側の営業トークにそのまま乗せられているのと同じことです。
実際に得か損かを判断するには、資産・負債の正しい定義を理解した上で、金利・維持費・将来の資産価値まで含めて、冷静に数字で見る必要があります。


「転勤がないから持ち家が有利」も、実は浅い考え方

現場仕事は転勤・単身赴任が多い仕事です。
だからといって、「転勤がある人は賃貸、転勤がない人は持ち家」と単純に振り分けるのも、私は違うと思っています。

単身赴任になった場合、赴任先の家賃は会社がある程度負担してくれるケースが多く、想像しているほど生活費が跳ね上がらないことも珍しくありません。
逆に「うちの会社は転勤がないから」という理由だけで持ち家を選んでも、金利・修繕費・将来のライフプランの変化といった、転勤とは関係ないリスクは何一つ消えません。

「転勤があるかないか」は、家を買うかどうかの判断材料の一つに過ぎません。
それだけで結論を出さないでください。


実際に金額で比較してみる(※ここは簡易版です)

ここで正直に告白します。
家賃と毎月のローン返済額だけを比べるのは、実は一番浅い比較です。

固定資産税、修繕費、住宅ローン控除、団体信用生命保険、持ち家という資産の減価償却、そして「その家に住み続けた場合」と「賃貸に住み続けた場合」の資産推移。
これを本気で数字で判断しようとすると、簿記の視点が欠かせません。

なので、ここでは「毎月の負担額」と「税金・維持費」だけに絞った、あくまで簡易的な比較を出します。
3,500万円の家を、頭金500万円・借入3,000万円・35年ローンで購入した場合と、家賃9万円の賃貸に35年間住み続けた場合を比較します。

固定金利と変動金利、そもそも何が違うのか

住宅ローンには大きく分けて2種類の金利タイプがあります。

固定金利(フラット35など)変動金利
金利の仕組み借りた時点の金利がずっと変わらない半年ごとに金利が見直される
現在の金利水準(2026年8月目安)3.290%(過去最高水準)0.9〜1.2%台(上昇トレンド)
メリット返済額が一生変わらず、計画が立てやすい現時点では毎月の返済額が少なく済む
リスク金利が下がっても恩恵はない金利が上がると返済額も増える

変動金利には「5年ルール」(5年間は返済額を見直さない)や「125%ルール」(見直し時も増額は元の返済額の125%まで)という緩和措置がありますが、これは返済額が急に跳ね上がらないようにする仕組みであって、増えた分の利息が消えるわけではありません。
払いきれなかった利息は「未払利息」として後でまとめて請求されることもあります。

固定金利(フラット35)でシミュレーション

2026年8月時点のフラット35の最頻金利は3.290%です。
これは前月から0.15ポイント上昇しており、現行制度で過去最高水準になっています。

項目金額(35年間)
ローン返済総額(3,000万円・金利3.29%・35年)約5,057万円
固定資産税・都市計画税(年間約22万円)約770万円
修繕費(年間目安20万円)約700万円
初期費用(頭金・登記費用・仲介手数料等)約700万円
合計約7,227万円

変動金利でシミュレーション(金利が変わらなかった場合)

2026年8月時点の変動金利の目安は0.9〜1.2%台です。
ここでは1.0%で借り続けられた場合を計算します。

項目金額(35年間)
ローン返済総額(3,000万円・金利1.0%・35年、金利変動なしと仮定)約3,557万円
固定資産税・都市計画税(年間約22万円)約770万円
修繕費(年間目安20万円)約700万円
初期費用(頭金・登記費用・仲介手数料等)約700万円
合計約5,727万円

固定金利より1,500万円も安く見えます。
でも、これは35年間ずっと金利が1.0%のままだった場合の話です。
日銀は物価上昇を背景に、今後も政策金利を引き上げていく方針を示しています。
仮に返済の途中で金利が2%、3%と上がっていけば、この差は簡単に縮まり逆転する可能性もあります。

固定金利は「金利上昇リスクを最初から払って消しておく」保険のようなもの、変動金利は「金利上昇リスクを自分で背負う」選択だと理解してください。

賃貸にかかる総額(参考)

項目金額(35年間)
家賃(月9万円×12ヶ月×35年)約3,780万円
更新料(2年に1回、家賃1ヶ月分と仮定)約158万円
合計約3,938万円

固定金利・変動金利どちらのケースでも、この単純合計だけを見れば賃貸のほうが少なく見えます。
ただし、持ち家には「資産として残る」という賃貸にはない要素があるので、これだけで結論は出せません。


この簡易計算だけでは足りない理由

上の表はあくまで「支払った金額の合計」だけを比べたものです。
実際には、

  • 持ち家はローンを払い終えれば資産として残る(賃貸は何も残らない)
  • 住宅ローン控除という税制優遇がある(今回の計算には含めていません)
  • 持ち家は年数が経つと資産価値が減っていく(減価償却)
  • 変動金利は将来の金利動向次第で総支払額が大きく変わる

といった要素まで踏まえないと、本当の意味で「どっちが得か」は判断できません。

この「本当の比較」を簿記の視点からきちんと解説しているのが両学長(リベラルアーツ大学)の動画です。
家を買うかどうか迷っている人はこの記事の簡易計算だけで判断せず、必ず下記の動画を見てから決めてください。

両学長 リベラルアーツ大学「【コレが正解】持ち家と賃貸の「経済実態」の違いを簿記で解説【リベ大公式切り抜き】」(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=YCub88Th-Ro

両学長 リベラルアーツ大学「【コレが結論】マイホームor賃貸どっちがお得?答えは○○○○○【リベ大公式切り抜き】」(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=hDutmLTOfxs

簿記の知識自体は私にもあります。
ただ、私が分からないのは将来の家の評価額、住宅ローンの金利、修繕費が将来いくらになるかという未来の数字です。
ここが読めない以上、どれだけ簿記の知識があっても正確に「得か損か」を判断することはできません。


私自身は、今も賃貸を選んでいる理由

冒頭の上司の助言に戻ります。
「40過ぎてから買うと大変」というのは事実だと思います。
でも私が賃貸を続けているのは、転勤がどうこうという理由だけではありません。

実家が持ち家で、両親がローンの返済にずっと苦労している姿を子供の頃からずっと見てきました。
金利がどう動くか、家の資産価値が将来どうなるか、修繕費がいつどれだけ発生するか。
これだけ不確定要素が多いものを、今の自分がちゃんと見通せる自信がありません。
そして、今後も見通すことはできないと思います。

そのため、今のところは賃貸で身軽にしています。
ただし、将来もし家を買うとしたら、その時は住宅ローンを組まず、一括購入のみで考えています。
将来の金利や返済計画という不確定要素を、そもそも背負わない選択です。
そして、感情的にどうしても欲しいと思える家に出会えたなら、それはそれで購入するのもアリだと思っています。
お金の話がすべてではありません。


まとめ

✅ 「家賃はもったいない」「転勤がないから」といった単純な理由だけで持ち家を決めるのは危険。
✅ 「転勤があるかないか」は判断材料の一つに過ぎない。
  単身赴任先の家賃は会社負担があることも多い。
✅ 固定金利(2026年8月:3.290%)は返済額が一生変わらない代わりに金利が高い。
  変動金利(同:0.9〜1.2%台)は今は安いが、上昇リスクを自分で背負う。
✅ 3,500万円の家(35年ローン)と家賃9万円の賃貸を比較すると、固定金利で約3,289万円、変動金利(金利変動なしと仮定)でも約1,789万円、持ち家のほうが多く支払う計算になる(あくまで簡易計算)。
✅ 本当の比較には、資産価値・減価償却・住宅ローン控除まで含めた簿記的な視点が必要。
  両学長の動画を必ず見てほしい。
✅ 将来の数字(評価額・金利・修繕費)を正確に見通せない人ほど、慎重に考えたほうがいい。

家を買うか賃貸を続けるか。
「もったいないかどうか」でも「転勤があるかないか」でもなく、将来の不確定要素をどこまで自分が背負えるかで決めるべき話です。


参考文献・出典

日本経済新聞「フラット35、8月最低金利3.290%に上昇 現行制度で最高」
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOFL032FI0T00C26A8000000/

モゲチェック「住宅ローン金利2026年8月の最新動向【日銀利上げによる変動金利引き上げと今後の見通し】」
https://mogecheck.jp/articles/show/51rzNy7XEJ5o4mQ6ZkVv

両学長 リベラルアーツ大学「【コレが正解】持ち家と賃貸の「経済実態」の違いを簿記で解説【リベ大公式切り抜き】」(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=YCub88Th-Ro

両学長 リベラルアーツ大学「【コレが結論】マイホームor賃貸どっちがお得?答えは○○○○○【リベ大公式切り抜き】」(YouTube)
https://www.youtube.com/watch?v=hDutmLTOfxs

※記事内の持ち家・賃貸の比較シミュレーションは、条件を単純化した一例です。
 実際の金額は物件・地域・借入条件・金利変動により大きく異なります。
※固定資産税・修繕費の目安は一般的な統計・不動産業界の目安値を参照しています。
※住宅購入・賃貸の選択は、ご自身のライフプランに応じて自己判断・自己責任でお願いします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました