会社の利益を考えて仕事したことある?なぜサラリーマンは給料が上がりにくいのか?

投資入門

「俺は今年1億円売り上げたのに給料は変わらない。おかしいだろ!」

仕事をしているとこんな不満を持つことがあります。
自分が頑張って大きな売上を作ったのに、なぜ給料に反映されないのか。

気持ちは分かります。

ただ、この不満には2つの「知らない」が隠れています。

ひとつは「なぜ日本の給料は上がりにくいのか」という仕組みの話。
もうひとつは「会社のお金がどう動いているか」という数字の話。

この2つを理解するだけで、給料への不満が「会社の利益に貢献しよう」という前向きなエネルギーに変わります。
そしてその行動が、出世やヘッドハンティングに繋がっていきます。


なぜサラリーマンの給料は上がりにくいのか?

まず、そもそもの疑問に答えます。

日本とアメリカでは、雇用の仕組みが根本的に異なります。

項目日本アメリカ
解雇のしやすさ難しい(法律で厳しく制限)比較的容易
雇用の安定性高い低い
給料の伸び緩やか(年功序列)実力次第で爆発的に伸びる
リスクとリターン低リスク・低リターン高リスク・高リターン

日本では法律上、正社員を解雇することが非常に困難です。刑事事件や飲酒運転など、会社に重大な迷惑をかけない限り、会社側から一方的に辞めさせることはほぼできません。

言い換えると、日本の正社員は強く守られています。

アメリカのように「You are fired(クビだ)」と言われて翌日から無職になることは、日本ではほぼ起こりません。

しかしその代わりに、給料の伸びは緩やかになります。

仕事をしない「窓際社員」が生まれるのも、この仕組みの副産物です。
仕事をしていないのにリストラされないのは、日本の雇用制度がそういう構造になっているからです。

これを良いと捉えるか悪いと捉えるかは人それぞれです。
ただ、この仕組みは個人の力では変えられません。

では、この仕組みの中でどう動けばいいのでしょうか。


その仕組みの中で評価される人とは

給料の仕組みは変えられなくても、評価される人・されない人の差は確実に存在します。

年功序列の日本でも、出世が早い人・ヘッドハンティングされる人・社内で一目置かれる人がいます。そういう人に共通しているのは、ひとつのことです。

「会社の利益を理解した上で、自発的に行動している」

逆に言うと、給料に不満を持つ多くの人は「会社のお金がどう動いているか」を知らないまま働いています。

次のセクションでは、その「知らない」を解消していきます。


「俺が1億円売り上げたのに給料が変わらない」は勉強不足

あなたが1億円の売上を作ったとします。
では、その1億円はまるごと会社の利益になるでしょうか?

答えはNOです。

その1億円から、次のようなコストがすべて差し引かれます。

  • 工事に使った材料費・外注費
  • 重機・車両などの設備費
  • 現場を支えた同僚・上司の人件費
  • 会社の家賃・光熱費・管理費
  • 借入金の利息や税金

売上1億円 - コスト9,500万円 = 利益500万円

これだけのコストを差し引いた後に残る「利益」が、会社が実際に手にするお金です。
つまり「1億円売り上げた」と「1億円の利益を生んだ」は、まったく別の話です。

給料に直結するのは売上の金額ではなく、「あなたの仕事がどれだけ会社の利益に貢献したか」です。


会社の決算資料を読んでみよう

会社の財務状況を正しく理解するには、以下の4つの指標を知る必要があります。

指標意味
売上高会社が稼いだ総収入
営業利益本業で稼いだ利益(売上-人件費・材料費・経費など)
経常利益営業利益に借入金の利息などを加減したもの
当期純利益税金などを引いた、最終的に会社に残るお金

この中で最も重要なのが営業利益です。
本業でどれだけ稼げているかを示す指標で、会社の実力が最も表れます。


実際に4大スーパーゼネコンの数字で見てみよう

(単位:億円)

会社名売上高営業利益経常利益当期純利益営業利益率
鹿島建設29,1181,5191,6061,2585.2%
大林組26,2011,4341,5331,4605.5%
大成建設21,5421,2021,3451,2385.6%
清水建設19,4437107166603.7%

※出典:各社2025年3月期 決算短信

鹿島建設は売上高が約2兆9,000億円という巨大な数字ですが、最終的に会社に残る当期純利益は1,258億円
売上に対する割合はわずか4.3%です。

日本を代表するスーパーゼネコンでさえ、営業利益率は4〜6%しかありません。

あなたが「1億円売り上げた」としても、会社に残る利益はせいぜいその数%です。
「1億円売ったのに給料が変わらない」という不満は、この現実を知らないから生まれます。

上場企業の決算資料はネットで無料で公開されています。
非上場の中小企業でも、上司や経営陣に「会社の財務状況を勉強したい」と伝えれば資料を見せてもらえることがあります。
まずは自分の会社の数字を調べてみてください。


会社はあなたに「投資」をしていた

決算を学ぶ前に、もう一つ考えてほしいことがあります。

新入社員のころ、あなたはすぐに会社の利益に貢献できていましたか?

上司が手取り足取り教えてくれた期間、あなたはまだ一人では仕事ができませんでした。
それでも給料は毎月支払われていました。

教育にかかった上司の時間・給料、研修費用、ミスをフォローするコスト——これらはすべて会社の「先行投資」です。

まずその投資分を、働いて返すことがスタートラインです。

その上で「自分は今、会社の利益にどれだけ貢献できているか?」を問うことが、正しい順番です。


決算を理解すると仕事への向き合い方が変わる

決算資料を読んで会社の利益構造を理解すると、仕事への向き合い方が根本から変わります。
「給料が少ない」という不満が、こんな問いに自然と変わっていきます。

「自分の仕事は、会社の営業利益にどう貢献しているか?」
「この経費、本当に必要か?削減できないか?」
「この作業を効率化すれば、会社のコストが下がるのでは?」

この視点で仕事ができる人は、経営陣から「こいつ分かっているな」と一目置かれます。


建設業の資格取得は、会社の売上に直結する

決算を理解した視点で見ると、施工管理技士の資格がいかに重要かが分かります。

建設業では、一定金額を超える工事を請け負う場合、「監理技術者」を現場に配置することが法律で義務付けられています。 
この監理技術者になれるのは、1級施工管理技士の資格保有者に限られます。

  • 1級土木施工管理技士
  • 1級建築施工管理技士
  • 1級電気工事施工管理技士

もし社内に該当の有資格者がいなければ、その工事を受注することができません。

工事を受注できない → 売上が下がる → 利益が下がる → 給料に反映される

資格を取得して現場代理人・監理技術者になることは、会社の売上を守る非常に大きな貢献です。

何度受験しても合格できない社員は、本人は「資格が取れないだけ」と思っているかもしれませんが、会社の利益という観点では、貢献できていない状態が続いているということです。

5年後、10年後——会社の利益に貢献できていない社員がどんな扱いを受けているか、想像してみてください。


自発的に行動する人が得るもの

「言われるまで動かない社員」は会社にとって邪魔な存在

少し厳しい話をします。
気分を害されるかもしれませんが、これは会社幹部が実際に思っていることです。

言われるまで動かない社員は、正直なところ会社にとって邪魔な存在です。

こんな言い訳をしている社員には、心当たりはありませんか?

「言われていないのでやっていません」
「〇〇さんから指示がなかったので動きませんでした」

これは「他責」の思考です。
何か問題が起きたとき、原因を自分以外に求めます。

他責の社員は成長しません。
指示を待っているだけなので、同じミスを繰り返し、仕事の質も上がりません。


「自責」で動く社員は最速で成長する

一方、自発的に動く社員はどうでしょうか。

指示を待たずに動くため、最速でミスを経験し、最速で修正します。 
失敗から学ぶサイクルが圧倒的に速いため、仕事の質がどんどん上がっていきます。

もちろん、致命傷を負うほどの大失敗は避けなければなりません。
しかし、自発的に動いた結果のミスは責任も伴いますが、それ以上のリターンを必ず得ます。

自責か他責か。

どちらの社員を会社幹部が評価し、雇い続けたいかは一目瞭然です。


自発的に動く人は社外からも評価される

会社の利益を意識して自発的に動く人は、社内だけでなく他社からのヘッドハンティングを受ける可能性もあります。

「会社の利益を考えて動ける人材」はどの業界でも需要があります。
転職市場でも高く評価され、現職よりも条件の良いオファーが来ることもあります。

居酒屋で給料の愚痴を言いながらお酒を飲む時間があるなら、その時間を「会社にどう貢献できるか」を考える時間に使う方が、将来は確実に変わります。

見ている人は必ず見ています。


自発的な行動とは何か?

特別なことをする必要はありません。
日々の仕事の中でこんな問いを持つだけで十分です。

「この作業、もっと早くできないか?」
「この経費、本当に必要か?」
「この問題、放置したら後でどうなるか?」

現場仕事であれば、

  • 材料の無駄をなくせないか考える
  • 段取りを改善して作業時間を短縮する
  • ヒヤリハットを記録して事故を未然に防ぐ

AIを使うことも「自発的な行動」のひとつ

AI(人工知能)を業務に活用することも、今の時代における自発的な行動の大きな選択肢です。

「AIはIT企業の話でしょ?」と思っている方もいるかもしれませんが、建設業・ブルーカラーの現場でも十分に活用できます。

  • 社内向けアプリの開発(工事日報・材料管理・工程表など)
  • 現場の数値データの自動入力・集計
  • 見積書・報告書の作成補助
  • 法令・安全規則の調査と確認

現在のAIは東大首席レベルの知識処理能力を持ち、月額3,000円程度で24時間365日、疲れることなく働いてくれます。

学歴や大企業ブランドは、AIの台頭によってほぼ無意味になりつつあります。
これからの時代に問われるのは、「学校や会社で何を自発的にやってきたか」です。


まとめ

✅ 日本の給料が上がりにくいのは雇用制度の構造的な問題
正社員は強く守られている分、給料の伸びは緩やか。
この仕組み自体は変えられない。

✅ 「1億円売り上げたのに給料が変わらない」は勉強不足
売上から無数のコストを引いた「利益」が会社の実態。
スーパーゼネコンでも営業利益率は4〜6%。

✅ 会社はあなたに「投資」をしていた
新入社員のころの教育コストを忘れずに。
まずその分を働いて返すことがスタートライン。

✅ 施工管理技士の資格取得は、会社の売上を守る大きな貢献
監理技術者がいなければ大型工事は受注できない。
資格を取ることは会社の利益に直結する。

✅ 他責ではなく自責で動く
「言われていないのでやっていません」は会社にとって邪魔な存在。
自発的に動く社員が最速で成長し、最大のリターンを得る。

✅ AIを使いこなすことが、これからの最大の武器
月3,000円で東大首席レベルのAIを24時間使える時代。
建設現場でも活用できる。

給料の仕組みは変えられなくても、自分の行動は変えられます。
会社の決算を理解し、自責で動く習慣が、5年後・10年後の自分を大きく変えます。


参考文献・出典

本記事の決算数値は各社2025年3月期の決算短信をもとにしています。
鹿島建設・大林組・大成建設・清水建設の各IR情報は各社公式サイトよりご確認いただけます。


日本の労働基準法における解雇規制については、厚生労働省「解雇に関するルール」をご参照ください。
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/keiyaku/kaisyoku/index.html

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