ホリエモンの「車を一括で買う奴は馬鹿だ」を真に受けてはいけない理由。前提条件を揃えよう。

ローン・借金

「車を現金一括で買う奴は馬鹿だ」

ホリエモン(堀江貴文さん)のこの言葉、聞いたことがある人は多いと思います。

先に言っておくと、私はホリエモンが好きです。
講演会にも行ったことがあるくらいです。

そして、この車についての発言も理屈としては完全に正しいと思っています。

でも、現場で働く私たちがこの言葉を真に受けて「よし、車はローンで買うのが賢いんだ」と考えたら、それは危険です。

なぜか。

ホリエモンと私たちでは、前提条件がとてつもなくズレているからです。

この記事では、ホリエモンの理屈のどこが正しくて、なぜ私たちには当てはまらないのかを説明します。


まず、ホリエモンの言い分を正しく理解する

ホリエモンが「一括で買うな」と言う理由は、感覚的な話ではなく、きちんとした金融の理屈です。

理由①:資金の運用効率
現金300万円で車を買うと、その300万円は車に変わって終わりです。
でもローンで買えば、手元の300万円を事業や投資に回せる。
そこでローン金利以上のリターンを出せるなら、ローンで買うほうが得——という理屈です。

理由②:流動性の確保
手元に現金があれば、急な出費やビジネスチャンスにすぐ対応できます。
現金を車に変えてしまうと、この「動けるお金」が消えます。

理由③:信用の構築
ローンをきちんと返済する実績は、金融機関との信用につながります。

理由④:機会損失の考え方
「利息を払わずに得したつもりでも、その現金で得られたはずの利益を逃していたら、実は損している」

——どれも、金融の教科書に載っていてもおかしくない、まっとうな理屈です。

では、なぜ真に受けてはいけないのか。


前提条件①:ホリエモンは「稼ぐ力」が桁違い

ここが一番大きなズレです。

ホリエモンは大学生の時点で月100万円稼いでいたそうです(本人がYouTubeで話しています)。
その後も、オンラインサロン、ロケット開発、飲食店、YouTubeチャンネル——いくつもの事業を経営しています。

この人にとって、手元の300万円は「事業に突っ込めば何倍にもなる可能性のある弾」です。

年利3%のローン金利を払ってでも現金を手元に残す価値が、本当にある。
だから彼の理屈は、彼にとっては正しいのです。

では、私たちサラリーマンはどうでしょうか。

手元に300万円を残したとして、その300万円でローン金利(年3〜5%)を確実に上回るリターンを出せるでしょうか。

  • 銀行預金:年0.2% → 論外
  • インデックス投資:長期平均で年5〜7%と言われるが、保証はない
    3〜5年では暴落してマイナスの可能性も普通にある
  • 自分の事業:そもそも事業をやっていない

つまり、私たちには「ローン金利を確実に超える運用先」がありません。

運用先がないのにローンを組めば、確実に発生するのは金利の支払いだけです。

ホリエモンの理屈は「金利以上に稼げる人」専用の理屈なのです。


前提条件②:「手元に残した現金」は、大抵残らない

もう一つ、現実的な話をします。

ホリエモンの理屈では、車をローンにして手元に残した300万円は「運用に回す」ことになっています。

でも、実際の私たちはどうでしょう。

ローンにして手元に残ったお金は——

  • 「余裕がある」と感じて外食が増える
  • 家族旅行のグレードが上がる
  • 気づいたら減っている

運用どころか、生活の膨張に消えていくのが現実です。

ホリエモンのような経営者は、お金を「弾」として管理する訓練ができています。
私たちは、手元にあるお金は使ってしまう普通の人間です。

この「人間の行動」の違いも、前提条件の大きなズレです。


前提条件③:ホリエモンにとって信用構築は武器、私たちには不要

「ローン返済で信用を築ける」という理屈も、事業家には意味があります。
億単位の融資を引くための実績づくりになるからです。

でも、私たちサラリーマンが将来組む大きなローンは、せいぜい住宅ローンです。
そして住宅ローンの審査で見られるのは年収・勤続年数・他の借金の有無であって、「マイカーローンを完済した実績」はプラス材料になりません。

むしろ車のローンが残っていると、住宅ローンの借入可能額が減ります。

信用構築のメリットは、私たちにはほぼ関係ない話です。


数字で確認:一般人がローンで買うと、確実に損する

300万円の車を5年ローン(金利3%)で買った場合——

項目金額
車両価格300万円
5年間の利息約23万円
総支払額約323万円

この23万円を取り返すには、手元に残した300万円を5年間、年3%以上で確実に運用する必要があります。

「確実に年3%」で運用できる商品は、この世にほぼ存在しません。
(「確実に儲かる」と言われたら、それは詐欺を疑ってください)

インデックス投資の長期平均なら超えられる可能性はありますが、5年という短期では暴落に当たるリスクがあります。
ローンの返済は暴落中も待ってくれません。

つまり一般人にとっては——

「確実な利息23万円の支払い」と「不確実なリターン」の交換。

これは分の悪い賭けです。


では、私たちはどう車を買うべきか

結論はシンプルです。
過去の記事(残クレの記事)と同じです。

①現金一括で買えるようになってから買う
車は「消費」または「浪費」です。
走るほど価値が下がります。
価値が下がるものに金利を払うのは、損の上塗りです。

②「家計に負担がかからない予算」の範囲で選ぶ
大事なのは年収との比率ではなく、ローンを組まずに、生活防衛資金(生活費の半年分)を残したまま買えるかどうかです。
この条件を満たすなら、いくらの車を買っても問題ありません。
逆に、この条件を満たさない車は「みんな乗ってるから」で選んではいけません。

③3〜5年落ちの中古車が最もコスパが良い
新車は買った瞬間に2〜3割価値が落ちます。
その落ちたあとを買うのが一番賢い買い方です。

④どうしてもローンを組むなら、生活防衛資金を崩さないためだけ
唯一ローンに合理性があるとすれば、「一括で払うと生活防衛資金(生活費の半年分)が消えてしまう」場合です。
その場合も金利の低い銀行のマイカーローンを選び、ディーラーローンや残クレは避けてください。


まとめ

✅ ホリエモンの「一括で買うな」は、理屈としては正しい。
✅ ただしそれは「ローン金利を確実に上回る稼ぎ方を知っている人」専用の理屈。
✅ 私たちには金利3〜5%を確実に超える運用先がない。
  ローンで確実に発生するのは利息だけ
✅ 手元に残したお金は、運用ではなく生活の膨張に消えるのが普通の人間。
✅ 「ローンで信用構築」はサラリーマンには無関係。
  むしろ住宅ローンの審査でマイナス。
✅ 正解は「生活防衛資金を残したまま、現金一括で買える車(できれば中古)」。

成功者の言葉を聞くときは、その人の前提条件を必ず確認してください。

「何を言っているか」ではなく「誰が・どんな状況で言っているか」。

ホリエモンの真似をするなら、車の買い方だけ真似するのではなく、まず稼ぐ力から真似しましょう。
順番が逆です。


参考文献・出典

※堀江貴文さんの発言は、YouTube等での公開発言をもとに要約しています。

金融広報中央委員会「知るぽると」(ローンと金利の基礎知識)
https://www.shiruporuto.jp/

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